⑨双極性障害~入院と自宅療養
入院 隔離された病室
娘を一人にしておくのが心配になった私は、娘を入院させることにしました。
娘も職場を休む理由がほしかったのでしょう、入院することを希望しました。
入院先で診断されたのは「非定型うつ病」でした。
新築のきれいな病院で、入院病棟はドアの多さが目立ちます。
娘の病室はナースステーションの中を通らなければいけない場所にありました。
落ち着くまでは隔離された感のあるこの部屋で過ごさないといけないそうです。
マットレスベッドとトイレだけの病室でした。
私も入ることができたので、しばらく一緒にいたのですが、
あまりの殺風景さと、窓のない閉塞感で息苦しさを感じました。、
娘は周りが見えていたのでしょうか。無表情の生気のない目でした。
娘を隔離された部屋に置いていく悲しさと、不安と…。
それよりも入院は死なない安心感の方が大きかったと思います。
ひとり家に置いては心配で仕事に行けない・・という母の勝手な思いで入院させました。
希望退院
入院の2日後、会いに行くと、「帰りたい」と訴えます。
携帯も本も、一切の情報が禁止されていました。
隔離された部屋に置いておくことがかわいそうになり、「娘とずっと一緒にいよう」と仕事をしばらく休むことを決心しました。
仕事を辞めることも考えたのですが、「休んでみて様子をみて決めてはどうですか」という上司の言葉と、同僚の協力で、長期で休む事にしました。
一週間後、
「まだこの状況では退院させるわけにはいきませんが、親御さんの要望と言うことで承諾します。ですが責任は持てません」
その時は娘を家に連れて帰りたいの思いしかありませんでした。
「私がそばに居て、絶対に死なせません」
自宅療養
私は何のために休んでいるだろうか。
一日中眠っている娘のそばにいると、仕事のことが気になり焦りが出てきます。
私のイライラを娘も感じ不機嫌になります。
負のサイクルです。
穏やかに過ごすはずだった日々は、お互いに沈黙が増えていき、
なんの変化もない娘の状態に焦り、ただ時間だけが過ぎる毎日です。
離れてる時間があるから優しくなれること。
一緒にいると必要以上に焦りと不安が広がること。
いつまで続くのかわからないこの状態に、思わずため息が出てしまします。
入院も続かないし、自宅療養では治る気がしない。
期限のない治ららないかもしれないこの病気といったいどうやって付き合って行けばいいのか、先が見えない日々です。
「絶対死なせない」と決意していましたが、だんだん自信がなくなっていきます。
「娘と一緒に死んでもいいかな」
そう思ったりもします。正常ではない思考になっていたと思います。
このままでは私も病んでしまう気がしていました。
今を乗りきれば、きっと。
娘の未来を断ち切ることはできない。
入院と自宅療養、どちらがいいのか
・良いところ
入 院:自殺念慮の心配が少ない
規則正しい生活ができる
自宅療養:家族と話ができ、状態がわかる
制限がないので好きな事をできる
・良くないところ
入 院:孤独感や寂しさがつのる
プライバシーが保ちにくい
自宅療養:不規則な生活になる
感情がぶつかりやすい
一人にするのが心配になる